今回は前回（【講座#2−2】ビットコイン（初期）でブロックチェーンの原理を学ぶ）の続きからとなります。

ちょっと振り返ると…

アドレスは公開鍵から導出され、ビットコインネットワーク上でユーザーを特定するために利用されることを学びました。

そして、その導出は…

1. 公開鍵をハッシュ関数SHA256にかけ、256bites(32bytes）の出力を得る
2. さらにハッシュ関数RIPEMD160にかけ、160bits（20bytes）の出力（公開鍵ハッシュ）を得る
3. 公開鍵ハッシュをBase58Checkエンコードする
4. プレフィックス0x00をつけてアドレスとする

といった流れで行われています。

📝今回の内容

1. Base58Checkエンコーディング
2. 秘密鍵のフォーマット
3. 公開鍵のフォーマット

Base58Checkエンコーディング

実は普段から私達の身の回りでよく使われているBase64エンコーディングというものがあります。これは、メールなどで画像を送信する時に画像（より正確にはバイナリデータ）をテキストに変換するのに使われているエンコード方式です。

下記は、画像ファイルをBase64文字列へ変換することができるサイトで実際に右側のお月見のアイコン画像をBase64文字列に変換した実例です。

そもそもBase64は、64種類の英数字のみを使い、それ以外の文字を扱うことの出来ない環境でデータを扱うために作られたエンコード方式です。

では、ビットコインでもBase64でいいんじゃないかと思いますが、ビットコインのアドレスで書き間違いや打ち間違いが一文字でもあると、全く違う人に送金されてしまい、取り返しがつきません。

Base64で指定されている文字列の中には、0（数字ゼロ）やO（大文字オー）、I（大文字アイ）やl（小文字エル）といった見間違いやすいものや、「+」や「/」といった取り扱いづらい記号が含まれています。

それら6文字を取り除き、ビットコインで利用するために開発されたのがBase58と呼ばれる方式になります。さらにこのBase58にチェックサム（転記間違いやタイプミスの防止）を付与したものがBase58Checkとなります。

まとめるとBase58Checkとは、

• ビットコインで使うために開発された
• バイナリデータ（バイト列）をテキストに変換
• 1文字で0〜57までの58の値を表現（例：0→「1」、57→「x」）
• Base64から見間違いやすい6文字（0, O, I, l, +, /）を省いたもの
• チェックサム（転記間違いやタイプミスの防止）を組み込み

という特徴をもつエンコード方式です。

秘密鍵のフォーマット

秘密鍵は256bitの数字からなります。これもアドレスと同じで人々が容易に読み転写できることを目的として、複数の形式（フォーマット）で表現されます。

• Rawは、秘密鍵をバイト列で（8bitで1バイト、256bitは32バイト）
• Hexは、16進数で（4bitで1文字、2文字1バイトで32バイト=64文字）
• WIFは、Base58Checkでエンコード
• WIF-compは、Base58Checkでエンコードしたものに0x01を追記

これらは相互で変換が可能であるため、見た目が異なっていても全て同じ秘密鍵の値を表しています。

公開鍵のフォーマット

公開鍵は、圧縮されていないものと圧縮されたものの2つの表現があります。こちらもアドレスや秘密鍵と同様に人に容易に読みやすいように表現されています。

ちなみに公開鍵は、前回学んだ通り、楕円曲線上の点（ｘ，ｙ）座標です。

圧縮されていない公開鍵

プレフィックス 0x04（04は「圧縮されていない公開鍵」を表す）※8bit/1バイトに、公開鍵のx座標256bit（32バイト）と公開鍵のy座標256bit（32バイト）を繋げて520bit=65バイトで表したものになります。

圧縮された公開鍵

トランザクションには署名に加えて公開鍵を含める必要があります。ただ、ブロックに取り込めるデータ量には制限（1MB）があるので、できるだけ小さいほうが都合がよく、また、トランザクションサイズが小さければ手数料も安く済みます。

プレフィックス 0x02（02は「偶数」）または 0x03（03は「奇数」）※8bit/1バイトに公開鍵のx座標256bit（32バイト）の264bit=33バイトで表現されます。x座標に対応する楕円曲線上のy座標は、下記式をとけば導出できるため、xが分かればyは省略できます。

方程式の解は2つ（偶数と奇数が一つずつ）が求められるため、プレフィックスで指定された偶奇でy座標が特定できます。

なお、この公開鍵からアドレスが導出されるため、

• 圧縮されていない公開鍵
• 圧縮された公開鍵

のそれぞれに対応したアドレス（圧縮されていない公開鍵に対応するアドレス、圧縮された公開鍵に対応するアドレス）が存在します。

※ごく一部とはなりますが、ウォレットでは圧縮された公開鍵の仕組みに対応していないものもあるため注意が必要です。

今回はここまで。次回は、本講義の続き「ウォレットの仕組み」について深く学んでいきます！

🍺お疲れ様でした！

最後まで読んでいただきありがとうございます！

いかがでしたでしょうか。これで講義的に20分くらいです。内容が非常に濃いので、複数回に分けて（出来るだけ短いスパンで）配信していきます。

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